日帰り温泉にいったら、雨が降った。
露天風呂に誰もいないのは、雨が降っているから。
どうせ濡れるんだから、雨に濡れたってかまわない。
そう思って外に出たら、ぽつぽつが、ざーざーに。
ふと、学生時代、雨の日でもプールに入ったことを思い出す。
あの時は、息つぎで、もはや雨なのか、プールの水なのか、どちらか区別がつかない水にむせ、寒くて唇が青くなった。
少々嫌になりながらも、湯船につかる。
何だか、滝に打たれるの修行僧のようになってきた。
何で雨のなか、露天風呂になんか入っているのだろう?
あまりに傍若無人な雨。どうやら小降りになってあげようという気は、さらさらないのだ。
そろそろ内風呂に退散しようか?
しかし冷たい雨に打たれながら、出ていくのはなぁ~。
迷っていると、そのうちだんだんに、雨を見てるのが楽しくなってきた。
雨は空から糸のように落ちてきて、水面にぶつかる。
ぶつかって泡立ち、水玉が表面を転がる。
よく見ると、いくつもいくつもそこらじゅう、水の玉がコロコロ。
水玉と、ぽちゃんの形と、雨の線。その3つがリズミカルに奏でる世界が見える。
こうしていると、もれなく、私の上にも落ちてくる雨は、森のきのこの上にも落ちていることに気付く。
私ときのこは、雨でつながっている。
暖かいお湯のおかげで、余裕で雨を受け止めて、
雨をよろこんでいる植物の気持ちが、少しだけわかった気がする。
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